広島 73年

今日8月6日は皆の目が広島に注目される。今年は原爆投下から73年。毎年、テレビ中継を見ながら、8時15分、合掌し黙祷している。
 もう73年とは! 香川県在住の親戚の者から、昔、「広島が光ったのを見た」と聞かされても、戦後生まれの私にはその言葉が信じられなかった。広島と香川県は離れている。何故、見えたか? しかし、そのくらいピカドンは強烈な光を放ったのであろう。
 大学に入った時、広島から来た女性と一緒に寮生活を送った。英米文学科でも一緒だった。彼女はそれとなく私に言った。「被爆者手帳を持っています」、と。あとで分かったことだが、彼女は一浪していたので、私よりも1年先輩であった。彼女は寮の中で孤立していた。非常に内面的で、ガラスのボディースーツを着ているようであった。
 彼女を理解することが私にはできなかった。他の寮生も然り。彼女は寮を出た。彼女のその後のことは杳としてわからない。会いたい気持ちはやまやまだが、距離を置き、彼女のことを時々思い出すだけにとどめよう。