一座建立

 私は足首を骨折してから正座をして座ることができないので、お茶の稽古はできない。しかし、お茶の教室には顔を出している。一度始めた習い事を簡単にやめてしまうことはいけないと自分に言い聞かせているからである。
 和菓子をいただき、抹茶を楽しむだけでもいいと思っているが、何かお役に立てるものはないかと考え、茶道講師の許可を得て、稽古風景や、掛軸、香合、そして、花飾りを写真におさめることにした。
 帰宅後、それらの中から良く撮れた写真を先生にラインで送信すると、次なるお返事をいただいた。
 「和やかなお稽古風景、嬉しいです。一座建立ですね」
 茶道の世界では「一期一会」という表現が余りにも有名だが、「一座建立」という四文字熟語も茶道の世界ではよく知られている表現であることを初めて知った。その意味するところは、「亭主と客人との間に一体感が生ずるほど充実した茶会となること。茶会の目的の一つとされる」ということらしい。泰日文化倶楽部も講師と生徒の間にこの一座建立の空気が流れることを願ってやまない。