神田川日記(終)

33日間、入院していたので、この神田川日記も33回目で終了とする。
 私には病気も怪我も関係ないと思っていた。だが、筋力不足から骨折を招いてしまった。帰宅後、ご心配いただいた皆さんに退院をお知らせすると、尾道にいる元生徒さんから驚きのラインが返信されて来た。彼女のお母様(65歳)が家の中の階段で転倒し、頭蓋底骨折と脳挫傷をおこして入院中だというのである。彼女のお父様(67歳)は実の父親の介護もしておられるとのこと。もはや老老介護はそこかしこで始まっている。
 私は骨折した時、ビルの管理人さんの手を借りてタクシーに乗ったので、退院した旨を伝え、そしてお世話になった感謝の気持ちを伝えようと思い、管理人室に電話をかけた。だが、聞き慣れぬ声の方が電話を取った。事情を説明したところ、臨時の管理員さんは言った。「彼は入院しています」
すぐに管理会社に電話をすると、管理員さん(75歳)の復帰はもう無理であると言われた。川の流れは戻らない。それぞれの人生も川の如し。どこかへと流れて行く……。