カズオ・イシグロ氏の顔

 昨晩8時頃、帰宅してすぐにテレビをつけると速報を知らせる合図の音が聞こえた。画面の上方を見ると、カズオ・イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞したことを伝えるテロップであった。正直なところ、意外な気がした。しかし、彼が立派な作家であり、世界的なレベルの作家に到達していることを知り、すばらしいと思った。
 その後、彼に関する映像を1時間近く見た。特に、彼の顔に関心を持った。沈思黙考する顔、深淵なる心を浸透させた顔….。久々に文学者の顔を見た気がした。今年4月に86歳で亡くなった大岡信氏(詩人・評論家)の顔に通じるものが有る。70歳代、80歳代のイシグロ氏の顔を見たい。
 大学時代に英文学を専攻した私は、文学と評論をたくさん読まされた。「夏目漱石と英文学」を講義する教授の顔が今でも思い浮かぶ。覚えているのは、<意識の流れ>というテーマである。これはなかなかに複雑な心理であり、人間社会において縦横無尽に張り巡らされている糸である。