青森旅情(10)

 そろそろ帰京の日が近づいて来た。青森最後の週末であった昨日、本八戸から八戸、野辺地を経由して大湊線の下北駅で下車し、バスで恐山へ向かった。バスの運転手さんが恐山冷水というところでバスを一時停車。乗客は皆バスから降りて口をぬぐった。霊験あらたかなる冷水に手を浸すこと10秒。冷たい。身も心も引き締まった。
 二度と来ることはなかろうと思いながら、恐山の中を歩く。暑かったがどんどん歩けた。五智山展望台まで行って、周囲の景色のすがすがしさに心うたれた。
 ゆっくり見て歩いたがそれも40分で終わり。硫黄の温泉(無料)が有ったので、旅の思い出に入ってみた。帰りのバスまでまだ2時間も残っている。寺の休憩所で休ませてもらった。汗がどっと出てとまらない。
 バス停の休憩室に、江戸時代後期の旅行家である菅江真澄(1754-1829)のことが紹介されていた。彼は38歳から41歳の間、下北に逗留し、恐山に5度も登ったそうである。今でも熊が出ているという下北。さぞかし不気味な踏破であったことであろう。