永遠の留年状態

昨日、知人に我が家に来てもらって、本の移動を手伝っていただいた。同じ部屋の中だけの移動なのに、何故、自分でできないのか。その理由は一人で運ぶのが億劫だったこと、そして、重いものを運ぶのがつらいという思いがいつしか頭に停滞してしまっているからである。
 力持ちに手伝っていただくと、30分で片付いた。ただし、これは蔵書の1割に過ぎない。「今日はこれだけ。またお願いしますね」と知人に言って、本運びは打ち切りにした。知人の顔を見ると、「早く処分したほうがいいですよ」と、言っているのがありありとわかった。
 夜、『知の仕事術』(池澤夏樹 集英社インターナショナル新書 2017年1月刊)を読むと、「出会って、ちょっと覗いて、合わないと思えば他に行く。そういうわがままな読みかたでも大事な本にはいつかは行き着く。むしろ広く浅く読むほうがたくさんの本に会えるし、浅くと思っても相性によっては深く引き込まれ、それが一生の付き合いになることもある。読書にはカリキュラムはないし卒業もない。永遠の留年状態」、という文章を見つけた。