哀悼のタイ王国(1)

2016年10月13日夜、国王崩御の報に接し、ついにその日が来たということを静かに受け止めた。しかし、ラインや電話が入って来たので、それらの対応に追われた。やがて、再び考える時間がやって来た。私は何をすべきか? そうだ、タイへ行こう。
 だが、当面の仕事を処理するまでに5日を要した。そして、18日の火曜日、大学の講義を終えてから羽田へと向かった。急遽、タイ航空の航空券を予約したので、いい席は取れなかった。私の座席は機内食を置いてある場所のすぐ横。そのため客室乗務員の動きがよくわかった。通路と内部を隔てるカーテンを見た時、ハッとした。何故ならば、黒のカーテンになっていたからだ。
エアホステスの一人は黒いタイシルクを身にまとっていた。美しくもあり、悲しくもある光沢….。 
19日の午前4時半(現地時間)、まだ薄暗いスワナプーム空港周辺の景色を飛行機の窓から見下ろした。車の動きが異常に少ない。以前と比べると、何かがちがう。