人類学者 加藤九祚先生の言葉

アジア文化史を専門とされる人類学者の加藤九祚(きゅうぞう)先生が9月11日に発掘調査中のウズベキスタンで亡くなられた。享年94歳。
 昨日の朝、NHK教育テレビの番組「こころの時代」で、加藤先生のことが再放送された。去年もその番組を見た私は、あらためて加藤先生の後輩に対する言葉に心打たれた。「知ること。知ることは大事ですよ」
 加藤先生の口から直接語られる彼の履歴たるや、これまたすごい。上智大学でドイツ語を専攻したので、捕虜になった時、ドイツ兵からシベリア送りになることを聞き出し、その後はすぐにロシア語の勉強を開始したそうだ。最晩年、故郷である韓国の大学から講演を頼まれた時は、「皆さん、これからは5ヶ国語は勉強しなさいよ」と韓国の若者達に熱く語っていた。
 加藤先生の語学は趣味ではない。生き抜くためのものであり、ひいては、人類を知るための勉強なのだ。