ぽつりぽつりの英語

 昨日、原宿から山手線に乗ると、小柄なマドモワゼルが日本の青年にフランス語で話しかけている。「あら、素敵な彼女を持っているわ!」と思ったが、それは私の勘違いであった。マドモワゼルは上野へ行く方法をたずねたかったようだが、青年がフランス語がわからないということがわかったので、彼女は英語に切り替えた。
 英語になると、青年も反応をし始めた。電車のドアの上に出る山手線の駅名を数えながら、「シックスティーン」と答えた。だが、私には、「シックスティ」に聞こえた。そして、「28分」と、英語で教えてあげていた。
 いずれにせよ、マドモワゼルは山手線に乗り続ければ、上野へ行けることがわかり、ほっとした様子であった。そして、青年に「アリガト」と日本語で言った。
 私は一切の助け舟を出さなかった。青年が、「よし、今日から英会話をやるぞ」と思ってくれることを期待する。