90歳の老人 と PC

 昨日、元生徒であるミセス・トシコと電話で話をした。彼女は84歳。年が明ければ、すぐに85歳になられる方だ。東日本震災直後、タイ語の勉強はおやめになられたから、彼女とはもう約5年近くお会いしていないが、年に2回位、お声を聞いて、お元気であることを確認している。彼女はたくさんお話をしてくださった。
 「2週間前に兄が亡くなりました。90歳でした。認知症でしたから、私のこともわかってもらえませんでした。病室に行くと、ベッドの上に大きなコンピューターが置いてあるのにはびっくり。姪に聞くと、お父さんに経理の仕事を手伝ってもらっていたので、コンピューターの前に坐るのが好きなんです。病院側からもう何にも処置することがありませんので、退院してくださいと言われ、兄は自宅に帰らざるを得ませんでした。兄のベッドの前にはまたしても大きなコンピューターが。やがて兄はコンピューターにお辞儀するような姿で息を引き取りました。妹である私は見舞いに行くたびに、トシコよ、トシコ、私はトシコと、連呼。何度も言っているうちに、兄はかすかに私を認識したかの如く、おお、トシコか…..と言いました。こんなことがありましたので、娘に言いました。お母さんが認知症になっても、とにかく名前を呼んでね、あきらめずに」