明治時代の留学

 『竹内 好 ~ある方法の伝記』(鶴見俊輔著 岩波書店 2010年)の中で「留学」について、次なる記述が有った。
 ー 明治に入ると、全五百七十例のうち清国が四例、香港が一例あるだけで、あとはすべて欧米である。その後、明治、大正。昭和と、海外留学の行く先は主に欧米にかぎられていた。陸軍から朝鮮にむけておくられた留学生はあったし、アジア諸国にむけての留学生は、国策の都合上、試みられてはいたが、それほど日本の青年の希望するところではなかった。欧米先進国の文明にまなぶのが、官民ともに望むところだった。そして、官費留学生の目標は欧米諸国にならって日本国家の富をまし、勢力を大きくすることにあった」
 この内容は誰しもが首肯する点であるから、今更、批評を加える必要もない。だが、もしも、アジア諸国に留学した青年が多ければ、そして、アジアへの正しい理解が明治の頃からなされていれば、日本の近代史は違った方向に向かっていたのではなかろうか。
 いずれにせよ、最近は日本の大学生のアジア留学が盛んになってきた。アジア諸国で多くのことを学び、その学んだことが、将来、国際関係において、大いに役立つことを願う。