<出会いぞ命>

 今年は真面目に読書したい。そう思って、高田馬場駅前のビルの中にある芳林堂へ行った。本についている帯はあまり好きではないが、あるコーナーに積み上げられた本には、これまでに見たことがない帯がどの本にも同じように巻かれていた。
 「2014年 冬 ここでしか手に入らないかもしれない岩波の希少本 売り切りで、ごめんなさい」
 このキャッチコピーに誘われて、『由布院に吹く風』(中谷健太郎 岩波書店 2006年)を買った。昨年10月、大分県に結婚式に行ってからというもの、大分県のことをもっと知りたく思っていたからである。
 由布院とくれば温泉、そのイメージしかなかったが、この本は由布院の地域づくりに尽力し、音楽祭、映画祭、牛喰い絶叫大会、郷土料理開発などを実践してこられた中谷健太郎氏の本音が詰まっていた。いくつかの町を合併させて市にするという一方的な行政のやり方の弊害がよくわかった。中谷氏は言う。
 「<出会いぞ命>ですよ。場所と人とが出会えば、人生が始まる。<境遇>ってそういうことでしょう、だから境遇は変わる、運命も変えられます」
 今年、高田馬場4丁目の泰日文化倶楽部に、どうか楽しい、そして、運命を変えるような出会いが有りますように!