バンコク散策(10)

2月26日(第3日目)、午前中にスクムビット通りにあるソフィテル・ホテルから、サイアムスクウェアのノボテル・ホテルに移動することになっていた。迎えに来る人から、「道路封鎖をしているので、タクシーで行ってください」という電話が入った。だが、ホテルの前で待っているタクシーからも乗車拒否をされた。
 そこで、スーツケースとバッグを持って、BTSに乗る。幸い、日本から持って行った日本食のお土産はすでに元生徒達に渡していたので、荷物はそんなに重くない。サヤーム駅で降りて、ノボテル・ホテルへ行く。チェック・インの時間までにはまだ間があった。荷物を預けることにしたが、その時、ホテルの近くからものすごい大きな声のアジ演説が聞こえてきた。
 さっそく、その反政府派のデモを見に入った。アンリ・ドュナン通りに面するタイ警察庁の門前で、大判のタイ国旗が反政府者によって何本も揺らされていた。マイクを使ってがなり立てているから、何を言っているのか全部はわからない。
 反対声明は、ラーマ1世通りからも聞こえてきた。そこで、サヤームからチットロムをつなぐスカイウォークを歩きながらデモの様子を見ることにした。すれ違う人達はほとんどが黒色のTシャツを着ていた。そして、警察庁の正門の前で、やはり大々的に抗議演説が行われていた。
 周辺は黒一色であった。その理由は、3日前に無差別爆弾で命を落とした子供2名を弔うための抗議であったからだ。
 「警察の皆さん、今日だけは警察官であることを忘れ、我々の側に立って、一緒に反対運動に参加してください」という内容をリーダーが言っていた。
 デモが終わり、彼らが食事に行っていなくなった隙に、私はタイ警察庁の正門の門扉に落書きされている文言を手帳に書き写した。非常に汚い言葉だ。その品の無さに呆れ果てた。