新しい講師の愛称はヒカル

ミミ先生がお辞めになったので、かねてより紹介されていたカノックポーンさんを代わりの先生として採用することにした。面接をすると、バンコクで日本人に個人的に教えたことはあるとのことであった。
 彼女の愛称はヒカル。お母さんが日本人の歌手が好きで、その歌手の名前からつけたそうだ。生徒の皆さんが、一体、どの歌手だろうと詮索した。結局、西田ひかるに落ち着いたが、果たして合っているかどうかはわからない。
 ヒカルさんをヒカル先生に仕立て上げるには、少し特訓をする必要が有る。昨晩、彼女に教室に来てもらい、彼女には発音だけ、そして、私は授業展開をはかって90分を無事に終えた。
 授業中、ヒカル先生に向かって、生徒の発音で気になった点を尋ねると、「ng と nの発音がはっきりしていません」と答えた。
 そこで、私は、ngや nで終わる単語や文章を生徒に言わせた。例えば、「2時間、教える」、「タイ料理をごちそうする」、等々。そして、末子音がnばかりで終わる文章も言わせた。「日本人が日本料理店で日本料理を食べました」
 すると、生徒の一人が言った。「よく、そのように、すかさず例題が浮かびますね」 
 私は自信を持って答えた。「40年以上もタイ語を教えていますから」