同行二人

 一年半、郷里へ帰る時間が取れなかった。さすがに気になってきた。そこで、昨日、日帰りで先祖の墓参りと実家の草取りに行って来た。枯れ草の下に新しい草が生え出していて、もうすでに春の兆しが垣間見えた。
 半世紀を超えて、営々と続けている喫茶店に寄った。コーヒーを淹れてくれたのは、いつものマダムではなくて、バレエを教えている娘さんであった。「どうですか、教室のほうは?」と尋ねてみると、「少子化ですからね….」と、答えた。帰省するたびに、人が街から消えている。私の家の近くに有った整体所も閉鎖していた。高速道路に近い町へ引っ越したと貼り紙に書いてあった。昔は金毘羅参りで賑わった港町。だが、車社会の到来以降、完全に死んだ。
 墓参りのあと、四国八十八箇所の第78番札所である郷照寺にお参りする。小高い山の上に有るので、瀬戸内海が一望できて気持ちがいい。厄除けのお札をいただき、寺をあとにする。
シーンとした町を歩く。すると、初老の男女の二人連れとすれ違った。お遍路さんの恰好をして、杖をついている。
 「同行二人」とは、「一人のお遍路であっても、お大師様が一緒に歩いていてくれているから」、という意味だそうだが、現実に目にした夫婦連れもなかなかによかった。
 一人でもよし、二人でもよし。ただ、歩き続けること。そして、ちょっと休憩を入れること。それがいいのだ。