美容師 と 五穀米

 昨日、教室の掃除をした後、美容院へ行った。美容師が2名もお休みだったので、順番が回ってくるまで読書をして待つことにした。やっとイスに座ると、左隣りでマロン色に髪を染めている女性が担当している美容師に向かって盛んに喋り続けた。「ああ、昔はよく儲けさせてもらったわ」 彼女はおそらく自営業者なのであろう。帰る時に、美容師に向かって、「あなた、五穀米を炊いて来たから、食べてよ」と言って手渡していた。
 そして、私が帰ろうとすると、美容師が、「五穀米、たくさんもらったから、おすそ分けしてもいいですか?」と、言った。私はその美容院へ11年通っているが、食べ物をいただいたことはかつて無い。「嬉しいです。いただきます!」と、すかさず答えた。
 そのあと、美容師と立ち話をした。彼女の人生が少しばかり分かった。1年半前に御主人を亡くされ、今は高校生の娘さん一人と暮らしているが、クリスマス・イブは、娘がパーティーに出かけたので、一人ぼっちだから、御飯をたくさん頂いても食べきれないというわけであった。
 「娘さんも美容師になりますか?」と尋ねると、「保育士になりたいと言ってます。手に技術を持っていると強いですから」と、彼女は答えた。それを聞いて、「そうですね。資格があると強いです。私には手に技術が無いけれど、口にはあります」と、応じた。