台湾青年の友人の財布

 ものすごく語学センスのある台湾青年のことはすでに書いたが、今日は彼の友人の話を書こう。
 前回の授業が終わる頃、台湾青年の携帯が鳴った。友人からであった。話し終わった後、台湾青年は困った顔をしながら、事情を話し始めた。「今日、台湾から友人がやって来たのですが、電車を降りた時、財布がなくなっているのに気がついたそうです。現金とクレジットカードが数枚入っているので、彼、困ってます」
 それを聞いた私は、友人が電車の中でスリに遭ったものと思い、早く警察に行って被害届を出すようにと勧めた。台湾青年の日本語なら警察でも十分に理解してくれるから大丈夫だ。彼もそうするようであったが、「これも人生ですから」と、やけに落ち着いている。台湾の人はものに動じないのであろうか。
 昨日、彼が個人レッスンを受けに来られたので、早速、友人の財布の後日談を訊いた。なんと、電車の中で車掌が見つけ、現金もクレジットカードもすべて有ったそうだ。台湾青年達に日本人のすばらしさを知ってもらうことができて、やれやれである。