鼎(かなえ)の象鼻

  今から約16年前に郷里の家を解体した時、すべての品物を捨てた。理由は、ひとつひとつ吟味する時間が無かったこと、そして、東京の住まいに持って来ても置くところがなかったからである。
  唯一、持って来たものが有る。それは用途不明の置物だ。花活けに使おうと思えば使えなくもない。だが、もうそろそろ処分してもいいかなあという気持ちになって、それを持ち上げてみた。
  すると、それを支えている三本の脚が目に入った。よく見ると、象の頭と鼻のかたちをしていた。単なる支えの脚だと思っていたのが、象の頭部であったとは!
  タイと象とは切っても切れない関係なので、私も象に関係するものなら出来る限り身近に置くことにしている。無造作にベランダに置いてある古びた置物が象の頭部を成し、しかもそれが脚となって私を見守ってくれていたことに感謝感激である。